仏式以外のお葬儀~神式編~
仏教では人が死ぬとその魂は「西方浄土」へ行くといわれますが、
神道(しんとう)では魂の帰る場所は「産土神(氏神)」の森だと考えられています。産土神は普通、村落にほど近い山の上などにあります。そして、故人は神となりいつもそこから生きている子孫を見守っていると考えられました。
つまり、人は死ぬとその家の守り神になり、正月とお盆の年二回、家に帰ってくるとされています。
神主さんへの依頼は喪に服さない他人が代行!?
もし、身内が亡くなったら、すぐに神棚を閉じ、神棚の扉に白い紙(半紙)を張ります。そして、「祖霊舎(それいしゃ)御霊屋(みたまや)」に身内の中の誰それが亡くなったことを報告します。
万が一、亡くなられた方の「病気平癒」などの祈願をした神社があれば、喪に服していない人にお願いして「願ほどき」していただきます。これは、神道では死を穢れとして考えるため、死者の出た家族はしばらくの間、神社に入れないためです。
※穢れとは故人の霊を指すのではなく人の死に寄り付く邪気のことです。
葬儀の日程が決まれば、神社に葬儀の依頼をします。葬具、用具、幣帛(へいはく) 饌(せん)供物のこと、玉櫛の数などを神官の方と相談して決定します。
霊璽(れいじ)位牌にあたるものや、銘旗(めいき)葬式の際に使用する故人の名前を記した旗、墓標の揮毫(きごう)を依頼します。ただし、近年は神社への依頼から葬具等の準備は、あらかじめ葬儀社に神式でお葬儀を行いたい旨を告げれば、一切のことを代行していただけます。
通夜際は死者の蘇生を願う!?
大切な故人様への最初の儀礼儀式はご遺体を「殯室(ひんしつ)」(ご遺体を安置する部屋のこと)移す、「枕直しの儀(まくらなおしのぎ)」と呼ばれる儀式です。頭を北か、上位(向かって右)に向け、枕もとに守り刀(女性の場合は鏡でもよい)を置き、ご飯か洗米・水・塩などをお供えし、ロウソクを立てます。ただ、近年ロウソクは火災の恐れもあるためロウソクにみたてたLED電球を使用する場合もあるようです。
納棺の時期については諸説あるようですが、死からよみがえることを願い12時間くらいはそのまま安置するようです。
納棺に際しては、ご遺体をきれいにし新しい衣服を着せ(この場合、たたんで棺の中に入れても良いとされます。)新しい布団の上に寝かせるとともに、個人様が生前愛用されていたものを柩の脇に入れます。
「通夜際」とは、身体より抜け出た魂がもう一度身体に戻って蘇生してほしいと静かに願うのが本来の祭りです。そのため、通夜際に集まってくださった方には、酒食にてもてなしをします。
霊璽(れいじ)に魂を移す遷霊祭(せんれいさい)
遷霊祭とは「御霊遷し(みたまうつし)」とも呼ばれ、神式葬儀の中核となる儀式です。遷霊祭の時期についても諸説あるようですが、近年は通夜際に引き続き(その夜のうちの出棺前夜)もしくは、出棺直前に行われることが多いようです。
魂を霊璽に移すということは、ご遺体がもはや魂の帰ることの出来ない亡骸になったことをしめします。この儀式が終われば、ご遺体を火葬にすることができるのです。
そして、葬儀場に向かう前には「出棺祭(しゅっかんさい)」を行います。ご自宅で葬儀をされる場合は葬場祭の後、出棺祭となります。また、出棺後には家の内外を祓い清める「後祓いの儀」を行います。これは、葬儀に携わっていない神主の方々が行います。
葬場祭(告別式)
葬場祭の祭壇は清らかに飾り付けて、中央に棺を安置します。その後ろに銘旗をたて柩の前に遺影を飾り、さらにお米を中心に酒、餅、果物などの供物を供えます。柩の横には大きな榊や生花を飾ります。
五十日祭が終われば忌明けになります。
火葬後、家に着きましたら斎主以下全員が門口で手水を行い塩で祓い清めてから家の敷地に入り、「仮霊舎(かりれいしゃ)」を設けて
「帰化祭(きかさい)」を行います。
これ以後は、魂だけのお祭りになりますので、霊璽を真ん中にて祭りお骨は脇においておきます。翌日には「翌日祭」を行い、以後10日ごとに祭りを行い「五十日祭」が終われば「忌明け」となります。この時「忌明けの祓い」を行い、神棚に張ってあった白紙をとり仮霊舎に奉てあった霊璽を先祖の祖霊舎に合祀します。